運命的な出会い

私は都立調布南高校という平凡な学校を卒業したあと、代々木にある音楽の専門学校に通っていました。

両親には悪いのですが、その専門学校を卒業しようという気持ちはまったくないまま入学しました。勉強はしたくないから、何となく学生でもやっていようという感じだったと思います。
結局、入学した年の12月に学校を辞めるのですが、そこで知り合った人が、私に大きな影響を与えました。良い意味でも悪い意味でも、この人との出会いがなければ間違いなくいまの私はないでしょう。

そこで知り合った人はAさんという人物です。Aさんは、私と専門学校では同級生でしたが、年齢は5歳も年上の23歳でした。色白で筋肉質で、いつもベリーショートでモード系。サングラスにクロムハーツのようなごっついシルバーアクセサリーを身につけているというスタイルでした。正直なところ、ちょっと近寄れないオーラを出していました。

Aさんと仲良くなった経緯は覚えていないのですが、専攻していた授業が同じだったことだけは覚えています。Aさんは、近寄れないオーラを放っているわりに、話すと人なつっこく、笑うと八重歯が出るかわいいところがありました。

私は入学当初からあまり学校になじめなくて、友達もなかなかできないし、早く辞めたいなといつも思って学校に行っていました。そんな顔をして学校に行くと、なぜかAさんもいつも私と同じような顔をしていました。

Aさん:斉藤くんに会うとほっとするなー。

斉藤:みんな楽器の練習ばかりやっていますけど飲み会とかやりたいですね。

Aさん:俺も同じこと思っているよ。

斉藤:練習しないで飲み歩いていろいろな経験したほうがプロになってから活躍できますよ。

Aさん:まったくだ。しかも練習ばかりしているのに下手クソだ!

こんなようなたわいもない、ちょっと他人を小バカにしたような会話で、私とAさんは仲良くなっていきました。Aさんと私は自然といつも一緒にいるようになり、私にとってAさんは何でも知っている兄貴のような存在になっていったのです。

つづく

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