Aさんは中野に住んでいて、私は西荻窪に住んでいました。私は時間があれば中野に行ってAさんとお酒を飲んで遊びまわっていました。18歳のクソガキだった私には、Aさんといるだけで全てが叶えられてしまうような気がする、そんな大きな存在がAさんでした。
のちのち判明するのですが、このAさんは、むかしは結構なワルだったんです。チーマーという言葉が昔あったけど、そういうことをバリバリやってきた人だったんです。
当時Aさんから良く言われたことに、次のような言葉があります。
斉藤、ケンカしたって良いんだよ!負けたって良いんだよ。ボコボコにされたって、強い相手はケンカしたおまえを認めてくれるから。負けたって口先だけのやつにはならないよ。
こんなことを平気な顔をして言うAさんと一緒にいれば、男の子なら誰だって強くなったような錯覚に陥ります。またこんなことも良く言っていました。
普段はハッタリでもいいよ。いざって時にやれば!
10代のちょっとやんちゃな男の子は、少し非行に憧れるところがあります。地元で名前の通ったワルと知り合いになったとか自慢していることもあります。私も、Aさんと知り合い、一緒にいることで、自分が誰よりも強い男になったと錯覚しはじめていました。
Aさん:斉藤、腕相撲しよう!
斉藤:Aさん、めっちゃ強いですね!
Aさん:もっと鍛えなきゃ、悪い奴らに囲まれたらやられちゃうよ。
Aさんと毎晩のように飲み歩いていた頃、私は深夜のファミレスのアルバイトをしていました。日中は何もすることがなったので、プロテインを飲んでただひたすらに、めちゃくちゃ身体を鍛えるということをしていました。
Aさんの言うように、いつケンカになっても負けないように、そしてAさんに腕相撲で勝ってやると思いながら身体を鍛えていました。
そんな毎日を過ごしていた私ですが、特別そんな悪いことはして来なかったと思います。私はどちらかというと、こわおもてだったので不良たちにはよく絡まれました。
私は、世間から不良と呼ばれているグループも好きだったし、そうじゃないグループも好きでした。私が通っていた学校にも、いじめのようなことはありましたが、私は両方に顔が利いたので、いじめは見つけたら守っていました。小学校、中学校、高校は学校に行き、友達と遊ぶのがただただ楽しい。勉強なんかより、みんなと遊ぶほうが楽しい。不良グループもおとなしいグループとも遊ぶ自由気ままなタイプだったと思います。
つづく
