日本語が読めない!

私が、大学に行こうと決めたのは20歳の終わりの頃です。ちょうど西暦2001年を迎えたときのことでした。一番初めに勉強をすると伝えた相手は、当時一緒にハウスクリーニングのアルバイトをしていた、中学校の同級生Y君でした。近所の神社で、遅めの初詣をしながら、この一大決心を伝えたことを覚えています。

斉藤:勉強して大学に行こうと思う。
   だからこれまでのように毎日遊べなくなると思う。

Y君:はっ?・・・(何のこと言っているのか分からない様子)

いまでも覚えていますが、この一大決心を伝える少し前、僕は本屋で中学校2年生の国語の問題集を買ってきてやってみました。そのときの衝撃は「日本語が読めない!」、「ニホンゴガヨメナイ!」というものでした。

問題集の漢字が分からないのは当たり前。それどころか文章を読んでも意味が分からない、もちろん理解もできませんでした。さらに問題の問い、つまり問われていることの意味すら分かりませんでした。問われていることが分からないのですから、答えられるはずがありません。相当ショックな出来事でした。

私は普段の会話で使っている日本語の文章が読めなかったのです。そんなことってあるのでしょうか。日本人が日本語を読めないなんていうことがあるのでしょうか。それも20歳の人が、中学校2年生の国語の本を読むことができなかったのです。

確かに、高校時代はろくに勉強もせずに遊んでばかりいました。それでも一応、高等学校は卒業しています。高校卒業後も、勉強はせずに遊ぶ毎日でしたが、中学校2年生の国語の問題が解けないなんて信じられませんでした。

果たして大学受験の勉強は、続くかどうかも分からないままY君に、勉強して大学へ行くということを伝えました。

それから約2年間、私は大学受験の勉強をすることになるのですが、この2年間のうちにY君と遊んだのは、たったの1度だけです。Y君の運転する車で横浜の中華街に行ったことを覚えています。

Y君は、私が勉強を始めると言ったときのことを、いまでも鮮明に覚えているようです。毎日一緒に遊びまわっていた奴からの、突然の大学受験宣言に腰を抜かしたそうです。Y君の偉いところは、私の受験宣言以来、まったくY君から連絡をしてこなくなったことです。

Y君: 遊びたくなったら連絡して。
   勉強は俺もやったことないけど大変だろうから。
   大学に行った人はめちゃくちゃ勉強してたから。
   遊びたくなったら連絡して。

Y君は、このようなことを言って、私の背中を押してくれました。
高校入学以来、まったく勉強をしてこなかった私が、その日から約6年振りに勉強を始めることになったのです。

つづく・・・。

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